クレジットカード獲得の極意

小売業で働いていると、必ずと言っていいほど直面するのが「クレジットカード獲得目標」です。わたしは百貨店で働いているので、いつもお会計を承るたびに、自社で発行しているクレジットカードをおすすめしています。

何を隠そう、実はわたし、クレジットカードの獲得がとても得意なのです。入社して数年経ちますが、獲得件数では何度か表彰されました。また、昨年はカード獲得推進担当としてフロア全体の指揮をとり、年間予算に対しプラス100件を超える実績を出しています。

そんなわたしが大切にしているクレジットカード獲得の極意は、全部で5点あります。なかなか獲得できなくて思い悩んでいる方、ぜひしっかりと読み込んでくださいね!

極意その① カードの仕組みを熟知しよう

「いやそれは当然でしょ!」という声が聞こえてきそうですが、ここさえ分かっていない人が大半です。代表的なメリットひとつと、年会費だけで戦おうとしている人が多すぎる。それだけでは、とてもお話になりません。

みなさんはこの質問に、どこまで答えられるでしょうか?

メリット

・どういう優待がある?
・ポイントの還元率は?アップする時はある?
・店内だけでなく、店外で使った時は?
・持っていると便利になることは?
・ゴールドカードにすると、どんなメリットが増える?
・旅行保険は付いている?

基本情報

・年会費はいくら?
・何日締めで何日支払い?
・カードブランド(VISAやマスターカードなど)は選べるの?
・引き落とし以外にも支払い方法はある?
・ネットやアプリとの連携は?

入会特典キャンペーン

・どんな特典がつく?
・特典を最大化するには、何をしていただくと良い?

入会方法

・時間はどのくらいかかる?
・時間がなくて、入会カウンターに行けない人にはどう対応する?
・入会カウンターの場所はどこにある?

***

このくらいの質問には、さらさらと答えられて欲しいところですね。

本当は、わたしが扱っているカードを具体例にして説明したかったのですが、きっとみなさん入会したくなってしまうと思ったので辞めておきました(どこの百貨店にいるのかバレたくないだけです)。

お客さまから、どんな質問が飛び出すか分かりません。いつでもサッと答えられるよう、なんなら「カードカウンターの人かよ!」と思われるくらい、カードの仕組みについては理解しておきましょう。

極意その② ライバルのカードのことを知ろう

ライバルと言っても、「どこまでをライバル認定したらいいんだ!」と思いますよね。

わたしが考えるライバルとは、この3つです。

・よく見るカード
・近隣百貨店のカード
・最寄駅の駅ビル発行のカード

これらに関しては頑張れば獲得につなげられる率が高いので、ポイントをおさえておきましょう。

よく見るカード

これは、年会費無料のところが多いですね。楽天カードや丸井エポスカードあたりですが、種類が多いので特徴を細かく掴む必要はありません。価格メリットを力説することで入会につなげることができます。お得感を訴求していきましょう。

近隣百貨店のカード

お会計のときに出されて一番悔しい思いをするのがこのカードです。百貨店はお客さまが固定しがちのため、よその百貨店カードホルダーに対してはご案内しても獲得するのは難しいのです。

ただ、時々いるのが「両方の百貨店に行っていて、最近はこっちでよく買い物をするようになってきた」というお客さまです。この方々は、カードに入会していただければそのまま固定客になる可能性が高いので、なんとか入会にこぎつけたいところ。近隣百貨店のカードをおさえるメリットは、この客層をつかまえることにあります。

そのためには、①代表的なメリット②自社カードの方がどう優れているからおすすめなのかの2つを理解しておきましょう。

②を話せるようになるには、「極意その①」で話したレベルでライバルカードの情報を一旦把握することになりますが、全てを覚える必要はありません。自社カードと比較したときにどう優れているのかというポイントだけ話せるようにしておけば十分です。

最寄駅の駅ビル発行のカード

ここもなかなか手強いカードです。駅ビルのカードは定期券を買うときにポイント率が良かったりしますし、なにより駅直結というアクセスの良さゆえ利用頻度が高くなりがちで、手放せないカードとして重宝されています。年会費を多少払っても持っていたいカードですね。

この層に対しては、少し変化球ですが「百貨店に親近感を持ってもらう」ことが大切です。価格メリットで納得させることもできますが、それよりは何度もご来店いただいて、そういえばよく買ってるから入会しようかな、と思ってもらうのが一番良いように感じています。最寄駅ユーザーなわけですから、また来たいなと思ってもらえるようにしましょう。

***

これら3つ以外のカードは、深入りするのが正直難しいです(特に銀行系・ANA/JALカード・ブラックカード)。そんなカードが出てきても必ず入会のおすすめはすべきですが、力の加減は調整してもよいでしょう。

極意その③ 共感と、ニーズに合わせた提案をしよう

ただやみくもにメリットを伝えるだけでは、お客さまの心は動きません。まずはお客さまの話に共感すること。その上で、興味を持ってもらえそうなメリットを瞬時に選び、伝えることを意識しましょう。

例①

若くて男女お二人連れのお客さまで、店頭でじっくりと進物を選んでいる方がいたとしましょう。お会計の際、進物のご用途をお伺いしたら「結婚の内祝です」と言われました。この方に、どうやってカードをすすめますか?

わたしの気持ちはこうです。

(そっか、新婚さん!いいなあ、新生活、ゆめふくらむ〜!でも準備とかいろいろ大変な時期だなあ、あと今お会計で緊張してるかもしれない!のし紙とか数とか丁寧に確認しながらお会計しよう!)

この思いを前提として、まずは、「ご結婚おめでとうございます」の一言ですよね。そして、ナチュラルな流れで「ブライダル会員」をご案内します。これは、新婚さんのカードホルダーを対象にご優待(つまりはお値引き)をするサービスです。何かと物入りになる時期ですね、なんて話を広げながら、だからこそブライダル会員を!とお話しすれば、スムーズにご案内へとつながります。

例②

お会計のときに、駐車券の時間を気にするそぶりがあったとしましょう。見ると、たしかに無料時間内ギリギリです。

(これは急いだ方が良さそう!テキパキいくぞ〜!)

そう思った上で、急いでお会計を済ませるべく、いつもより手際よく包装などを行います。その中で「カードをお持ちでしたらプラス1時間付けることができるんですが、お持ちでしょうか?」と、メリットを先に伝えながらカードを持ってるかどうか確認します。案外お急ぎでなければそのまま入会につながることもありますし、やっぱり読み通り時間がなければ、「ご案内のパンフレットをお入れしておきますので、お時間あるときにぜひ!」と、次回以降につなげておきます。無理はせず、良い印象を残しておきましょう。

***

カードに入ってもらうには、いくつかの心理的なハードルを超えていただかなくてはなりません。その中で、大事になるのが「わたし自身に安心感を持ってもらうこと」です。

「この人がそう言うなら大丈夫そうだ!」と思っていただくには、「共感」がカギとなってきます。このあたりは感覚的な話なので、どう言われたらどう返す、というマニュアルはありません。付け焼き刃ではなく、本当にそう思って共感することが重要です。共感していくと、ニーズに沿ったご提案をしやすくなりますよ。

極意その④ お役に立てる!と、自信を持ってすすめよう

カードをご案内することに対して、後ろめたい気持ちになっている方も多いのではないでしょうか。わたしも最初の頃はそうでした。でもその後ろめたさ、お客さまに伝わっています

後ろめたいなと感じる要素としては、この辺りが考えられます。

・年会費がかかってしまうのが忍びない
・あんまり使わなかったら申し訳ない
・手続き、面倒くさいと思うだろうなあ

たしかに、それはそうなんです。でもそれ以上に、カードにはたくさんのメリットがありましたよね!

これは普段、商品を販売するのと一緒です。自分が好きな商品をおすすめするときに、いつも以上に気持ちが入る感覚、分かりますでしょうか。そういう商品はとても売りやすいですよね。自信があるから何を聞かれても大丈夫だし、デメリットもあるけどそれ以上のメリットがあると言える状態。カードに対しても、その思いで臨みましょう。反応が全然違ってきますよ。

極意その⑤ どんなお客さま相手でも、必ず声をかけよう

相手が急いでようが、高齢そうに見えようが、ちょっとコワモテだろうが、どんな方でも必ず声をかけましょう。「カードのメリットを受けられる機会を、こちらの勝手なイメージで、お客さまから奪ってはいけないから」というのは建前で、わたしが思う本当の理由は、どんな反応だったか、その経験値をストックするためです。

全員にご案内のひと声はかけますが、全員に全力でいく必要はありません。「あっ、今ちょっと興味持ったでしょ!」というサインが見えたら、アクセルをかけるイメージです。経験値が貯まると、その辺りのさじ加減が分かってくるようになりますよ。

おわりに

ここまでのご案内スキルは、「カード獲得件数を稼ぎたいから」という思いではなく、「せっかく買うなら、少しでもお客さまにプラスとなる買い方をしてほしいから」培ってきたものです。押し付けるご案内は大嫌い。それは本末転倒だからです。

こうやって極意として紹介するのは、スキルありきで捉えられそうなので抵抗があります。でも、接客業の中で大事なバランス感覚だと思ったので、書き出してみました。

「ご案内、楽しいな!」そう思える人がひとりでも増えますように。

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