美容師さんに学ぶ、おもてなしへの熱意

わたしはもうかれこれ10年近く、同じ美容師さんに髪の毛を切ってもらっています。ずっと吉祥寺のヘアサロンで勤めている方で、もうすっかりお兄ちゃんのような存在になりました。

この美容師さん(以降は「ヨウさん」とします)、出会った頃はサロンに所属する美容師のひとりでしたが、店舗を変わるごとに副店長などに進化していき、今は店長として新店舗をひとつオープンさせた実力派です。

わたしも接客業と真剣に向き合っている身だからこそ、ヨウさんのおもてなし力が素晴らしいと感じていて、ずっとヨウさんにお願いしているのです。

そんなヨウさんを見ていて、おもてなしの熱意の置きどころを学びました。
5つのポイントについてご紹介します。

・圧倒的な技術力と謙虚さ
・オプションのセールストークをしない
・お客さまの空気を読み取る力
・お客さまを受け止める姿勢
・お客さまの喜びを一番大事に思う気持ち

 

①圧倒的な技術力と謙虚さ

お客さまからお金をもらって何かを提供するのであれば、当然その中身は自信のあるものでしかるべきです。

ヨウさんは出会った頃から、自分の腕前に自信がありました。原宿のサロンでがむしゃらに経験を積んでいた苦しい時代がその裏打ちになっています。

実際に切ってもらうと、頭の形がきれいに出るだけではなく、普段も扱いやすいように切ってあるので再現性も高い。周りにも髪型をたくさん褒められて、ヨウさんの技術の高さを感じました。

ヨウさんは、でも、それを当然だとは受け取りません。切りに行くたび、ヨウさんはわたしが感想を伝えるとすごく喜ぶし、もっと力をつける!と意気込みます。

今でも十分な技術があると自信を持ちながらも、現状に満足することなく、もっともっとお客さまを満足させたいと思う謙虚で素直な気持ちが、良い循環をどんどんもたらしているんだなと思いました。

 

②オプションのセールストークをしない

「これをこうやって付けると良いんですよ、でもヘアサロンにしか卸されてないものです。せっかくですからいかがですか!」

まだ決まったヘアサロンがなくて毎回新しいサロンに足を運んでいた頃、隣の席のこんなやり取りを小耳に挟みました。どうもドライヤーの風を柔らかく広げられるオプションアイテムの説明のようです。

何が印象的かって、お客さまがその商品について全く興味を示していなかったのに、ひたすら商品説明を続けていたことです(話すネタがもう他にはなかったのかもしれませんね)。

興味のない商品説明を受けるのって、実はお客さま側のフラストレーションが貯まることです。だって興味ないんだもん。時間がもったいない!

でも、興味があるとどうでしょう。別に買うつもりはなくても「へー、いいね!」と純粋に思えるはずです。それ以上でも以下でもなく、別に不快ではありません。

「あ、ちょっと興味ありそうだな」と思ったら、さりげなくその情報を伝える。決して押し売りの「セールストーク」ではなく、お客さまが欲しそうだから「教える」。そういう姿勢でいると、逆にオプションコースのヘッドスパが決まったり、おすすめのワックスが売れたりするものです。

ヨウさんはいつもこの塩梅が絶妙。トリートメントの提案をしてくださるのが、パーマをかける時と、わたしがすごく疲れている時。よくわかってる…ありがたい!

 

③お客さまの空気を読み取る力

空気というのは2種類あると思っています。

ひとつは、お客さまがまとっている空気。見た目の雰囲気と言うか、パッと見たその日の第一印象です。「髪が疲れて見える」「思い切って短くした方がいいかも」など直感的につかむ空気のことです。

もうひとつは、話しながら感じる空気。気分や好みが言葉となってあらわれることで、より具体的な要望につながっていきます。

これらを、どこまで読み取るか。どこまで話しながら探り当てることができるか。2種類の空気を読み取ってはじめて、お客さまの気分にあったご提案ができます。

 

④お客さまを受け止める姿勢

お客さまはいつだって自分中心です。それを否定するつもりはありません。その要望を叶えるのが仕事ですから、むしろ自分中心でいてもらっていいのです。

特に美容師さんは「なりたい姿に変身させる」というミッションを背負っています。だからこそ、どこまでお客さまを受け止められるかがカギとなります。せっかく③で読み取っているのだから、それを受け止め共感した上で、自分にできることを最大限にやるのがポイントです。

「受け止める」って実は結構難しいんです。というのも、相手のことを真剣に考えていないと、せっかくお客さま側からヒントをもらえていても、さらっと流してしまったりするものだからです。

自分の先入観や経験則に頼りすぎない姿勢が大切です。

 

⑤お客さまの喜びを一番大事に思う気持ち

この思いは、接客業である限り、必ず持っているものですよね。

ヨウさんも、たくさんのこだわりを持っています。

例えばシャンプーやカラーをする時。普通のヘアサロンだとそこで他の人(アシスタントや若手?)にバトンタッチしがちですが、ヨウさんはそれをしません。最初から最後まで、自分のお客さまを自分の手で丁寧にケアしたいからです。

そして今回、自分で店舗を作れることになった時、とにかくお客さまが快適に過ごせるお店の設計を考え抜きました。くつろげるか?お客さまがあまり移動せずに済む間取りか?店内には、随所にそのこだわりがあふれています。

ヨウさんのこだわりの主語は、いつだってお客さま
喜んでほしくてやっていることって、やっぱり温度が違いますね。何かが伝わってきます。

 

おもてなしは、気持ちひとつで全然違う

「おもてなし」というと、いかに細かいところに配慮できるか、退屈させないように話を振れるか、といった話に持っていきがちですよね。とても大切なスキルです。

でもそれらを、どういう密度でやり遂げるかは、結局気持ち次第。だから今回はその辺りの具体的なスキルにはあまり触れず、抽象的な部分を切り取ってご紹介しました。

喜んでほしい、というモチベーションに勝るものはありません。

自分自身も、今一度気を引き締めて、販売に立とうと思いました!

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