矢島里佳さんの『和える 伝統産業を子どもにつなぐ25歳女性起業家』を読みました。
小売業をされている方は、必ず読むべき本ですね。
この本にたどり着いたきっかけは、「ミリュー」というメディアからです。
どうしても取材したい人に、話を聞きに行きました!
「和える」代表の矢島里佳ちゃん。私と同い年とは思えないほど、広い視野と豊かな思想、堅実な歩みで尊敬している…。
「"和える"は小売業ではなく、ジャーナリズム」という言葉が響きました。ぜひ読んで欲しい記事です!https://t.co/O2QS8wppzb
— 塩谷 舞(milieu編集長) (@ciotan) December 26, 2017
矢島さんは、しなやかで、まっすぐ芯の通った女性です。
この本には、矢島さんの人生を振り返りながら(その人生の内容の濃いことよ)、
”和える”という会社を立ち上げ、運営していく中での思いが詰まっています。
”本当に伝えたいものがあるならば、在庫を持って、責任を持って売っていかない限り、成功しないのではないか。”
本当にその通りすぎて、何も言えません。
今わたしが働いている百貨店では、在庫を持つことのリスクを取らないスタイルがあまりに多いのですが、そうするとどうしても仕入れたモノに対しての愛着が減り、販売にかける熱量が落ちます。
モノを仕入れるということ。ましてや、コラボしてものづくりをすること。
矢島さんは販売をした経験がなかったそうですが、だからこそ、その重みを感じることができたのかもしれません。
”「売る」ではなく、「伝える」でありたい”
冒頭のミリューの記事でも、”「小売業ではなくジャーナリズム」”の表現がありましたが
このマインドは、小売にいるとずっと持つことはできないものです(どうしても数字を取らないといけないので)。
自分はいままで店頭で、ものの良さをお客さまに伝え続けてきたと思っていたけど、それはあくまで点の話でしかないし、結局ただ販売しているにすぎません。
”ジャーナリズム”という意識にまで昇華させたことで、矢島さんは、伝統工芸の新たな道を切り開いていっています。
同じ「売る」でも、中身の密度がまるで違う。こういう売り方・伝え方ができたら、どれだけ楽しいだろう。
子育てをするように自分の会社を育てる
本を読んでいて、もうひとつ、すごいなあと思ったことです。
子育てをするように自分の会社を育てているということ。
「和える君」と、自分の会社を表現されていました。
生まれたばかりの和える君に、「三つ子の魂百まで」だと考えた矢島さん。たくさんの手をかけて、工夫をして、感覚の近い人の力を借りて、和える君を育ててきていらっしゃいます。
ただ単に「起業して事業を成長させる」という言葉でもいいと思いますが、「子育て」という捉え方にすると、それだけで一気にやわらかくなるし、わかりやすい。
子育て経験者というわけではなくても、この感覚でものごとに向き合えるしなやかさと強さ。矢島さんはとっても大人です。
………
本を読み終わったとき、わたしもまっすぐ透明な気持ちになれました。
それだけ矢島さんの世界は純粋で、きれい。
モノを売る方には本当に読んでほしいです。つよく、おすすめします。
ちなみに、この本を読んだ数ヶ月後に、矢島さんのセミナーにも参加してきました。矢島さんの姿を、実際に話す姿をこの目で見れたこと、いい刺激になりました。