『売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放』

ふらふらと本屋さんを歩いていて目に飛び込んできたこの文字に、どうしようもない衝撃を受けました。

「売上を、減らそう。」

小売業や飲食業に携わる人からすれば、こんなことはありえません。でも、それが不思議としっくりきて、もしかするとわたしが求めていた答えがこの中にあるかもしれないと思って、手に取りました。

by カエレバ

表紙をめくったところ(「そで」というそうです)には、こう書いてあります。

「もっと売れば儲かるんじゃないですか?」

そんなこと、何回も言われました。
たしかに売上は上がるでしょう。

でもわたしは、
もう「頑張れ」なんて言いたくない。
「仕組み」で人を幸せにしたい。

中村朱美『売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放』そで

冗談抜きで、くらっとしました。あっ、この本は絶対に読まなければ。絶対に、これからお店を開くために必要なことが書いてある。そう直感しながらも、とりあえずパラパラと中身を見ていきます。

たどりついたのは
終わりのない
「業績至上主義」からの
解放だった

中村朱美『売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放』p3

「100食以上売ったら?」
「昼だけじゃなくて、夜も売ったほうが儲かるのでは?」

たしかに売上は上がるでしょう。
でも、働く時間は増えるのに、
給料はあまり変わらない。
会社が儲かっても
社員が報われないのはおかしい。

中村朱美『売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放』p6

「残業ゼロなんて、うちは業種も規模も違うから無理」
「佰食屋だからできるんでしょ?」
「同じだけテナント料を払うなら、なるべく長い時間でできるだけ商売しよう」

ちょっと待ってください。
そもそも就業時間内に
利益を出せない商品とか企画って
ダメじゃないですか?

(中略)

みんなが売上を追いかけて
うまくいっていないのなら、
もうそれを
追いかける必要なんてない。

中村朱美『売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放』p8〜9

スパンっ、って音が聞こえるくらいあざやかに切られた。切られました。

百貨店で働いていた時、常に売上前年103%を目指すよう指示されるのがどうしても理解できなかったことがありありと思い出されます。

「大口入金来ちゃったね。助かるけど、こりゃあ来年の自分たちが困るね」

こんな風に言っている先輩を見て、どうしてそう思ってしまうんだろう、そんなにたくさん買っていただけたことに対して純粋に感謝すればいいだけの話なのに。一体どこから、気持ちがゆがんでしまったのだろう。

ことあるごとにモヤモヤを感じてきていたものの、わたし自身も社歴が長くなってくるとだんだん染まってきてしまって。百貨店は別の理由で退職したけれど、このモヤモヤはずっと言語化できずにいました。

その答えが、この本にあったのです。

すべては売上を追いかけ続けるからいけないんだ、と。

わたしは現場にいる管理者だったので、103%の売上を追いかける意味に納得できていないにもかかわらず、それでもチームみんなの士気を上げなきゃいけなかった。それなら会社のためになっているという意義を自分なりに見出そうと思って、わたしの手元にある会社のビジョンを読み漁ったけれど、意味のある話がひとつもなかったし、どう頑張って解釈しても意味付けできなかったんだった----

当時の葛藤が、まるでいま思い悩んでいるかのように蘇ってきて。

でも、いまなら言葉にできそうだ。あの頃どうしても意味を見出せなかったのは、会社が追いかけていたのが、お客さんや働く仲間の満足ではなくて「売上」だったから。

売上なんて、そもそも目標にすべき数値ではなかったんだ。

ずっとぐるぐる考えていたことが、中村さんのたったこれだけの言葉によって、ようやく答えが見えた気がしました。

ここまでも多くの本文を引用してしまいましたが、目次も抜粋してご紹介させてください。実際の目次はたくさんの項にわかれているので、目次だけで8ページものボリュームになっています。

目次

はじめに
第1章 超ホワイト企業「佰食屋」はどのようにして生まれたのか
第2章 100食という制約が生んだ5つのすごいメリット
第3章 佰食屋の労働とお金のリアルな実態
第4章 売上を目標にしない企業は社員に何を課しているのか?
第5章 佰食屋1/2働き方のフランチャイズへ

中村朱美『売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放』p11〜18

一度本を読みきってから目次を見返してみると、目次に並ぶフレーズたちの意味がよく理解できて、全体的に内容を把握し直すことができました。それくらい、この本の目次はすぐれています。もちろん、中身もね。

とにかく、この本は久しぶりに身体が震えるような感覚をもたらしてきました。

小売業や飲食業のみならず、チームを抱えて売上に向かって仕事している人に読んでほしいです。もちろん、これからお店を開こうとしている人にも。

by カエレバ

ところで、わたしはいま、このご時世で佰食屋は大変なのではないかとずっと心配していました。

この本でも触れられていますが、「売上を捨てる」ということは、常に最低限の運転資金しか手元になくなるということでもあります。

すなわち、災害や今回のコロナのような危機があると、体力が持たないのです。

実際に、数年前の西日本での豪雨の時も大ピンチだったと書かれていました。佰食屋は京都に3店舗ありますが、どれか畳まなければならないかも、と。なんとかその危機は乗り越えられたそうですが、今回はまずいんじゃないかな……

そう思って、この前久しぶりに佰食屋の本店に行ってきました。

現在の営業はテイクアウトのみです。いつもの整理券は発券されておらず、電話で事前予約もできるようになっていました。イートインできるようになるのは、近隣の小学校が授業を再開してからだそうです。これは、働く人にママさんが多いからだという説明書きが貼られていました。

ああ、さすがだなと思いました。どんな時でも売上は捨てているし、でもお客さんのためにやれることはやっているし、働く仲間のことを大切にしている。その一貫している姿勢に、あらためて格好良さを感じました。

で、肝心のステーキ丼、テイクアウトでも十分においしかったです。

もうね、ぎゅうぎゅうにごはんとお肉が詰め込まれていて、大満足でした。お弁当容器だからって量を減らしたりしていないし、トッピングのフライドガーリック(これがまたおいしいの)も小袋で入っていたし、どこまでもさすがとしか言えない。

お店にはひっきりなしにお客さんが出入りしていたのも、合点がいきました。これなら何度でも食べたいと思うもん。勝手に心配していましたが、なんだか大丈夫そうです。よかった。

それにしてもここのステーキ丼は、本当においしいです。どうかコロナも乗り越えられますように。近いうちにまた食べに行きますね!

by カエレバ

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