『京都で町家旅館はじめました』

「京都」というと、寺社めぐりやらおしゃれなカフェやら、周りきれないほど素敵なスポットがたくさんある印象の一方で、住んだりビジネスをしたりするにはハードルの高い場所だと思っていました。

そんなわたしでしたが、ご縁があって京都に住みはじめました。半月くらい経ったかな。今のところ楽しく暮らしていますが、「ぶぶ漬けいかがですかと言われたら帰ってほしいっていう意味だよ」とか「東京から来た人は煙たがられてさらっと嫌味を言われる」とか、京都人ってはんなりしているようで怖いんだよという説をいろんな場所で見聞きしていたので、内心おびえているのです。

そんな中、本屋さんで出会ったのがこの本でした。

ざっくりあらすじを紹介します。

山梨出身の筆者・山田さんはもともと旅行業界にいて、現職はライター。でもひょんなことから京都で旅館を始める話に巻き込まれて、マネージャーとして宿の立ち上げから運営までしていく、というお話しです。

インバウンドが多い立地でもあるので、描写されている宿泊客は主に外国人。彼らの自由奔放さが、面白いし、考えさせられます。日本人では考えられないような時間の使い方をするんですよね、、

そこに自由な外国人とは対極とも言える「京都人」のみなさんの姿が加わってきます。山田さんは京都の「いけず」(いじわる、という意)についても何度か文中で触れているのですが、独特の解釈と人懐っこい性格もあいまって、「京都の人は面白い」と感じているようでした。

これはわたし自身の経験談です。

京都に引っ越してくる前、おうちを決めるために一度京都入りしていたときのこと。ゲストハウスに連泊していたのですが、ある日のランチタイム、ロビーのカフェにカレー屋さんが出張してきました。

そのカレー屋さんのお兄さんは東京出身で、数年前に京都に移住してきたとのこと。いろんなお話しをさせていただいたのですが、お兄さんは京都のことをこう表現していました。

「京都はつながりが強いんよ。その輪の中に入ると、行く先々でその人たちばっかりに会うんよね。みんながみんなお店を紹介しあって行きあいっこするからさ。それが心地いいっていう人は京都に残るし、刺激が足りないと思う人は東京に出てるね」

この話がずっと頭の中に残っていたのですが、京都に住みはじめてみて、いろんな場面で「つながり」を感じるようになってきています。

近所のお米屋さんに行ったらめちゃくちゃ丁寧にお米の扱い方を教えてもらったり、銭湯の脱衣所もご近所さんで大騒ぎだったり、この前の土曜日は広場で餅つき大会があって和気あいあいとしていたり。そういえば、カレー屋さんが来ていたあのゲストハウスも様々なイベントをやっていて、地元の人が多く集まる場所になっていました。

京都の人、すごくおしゃべりさんなのかも。

東京は良くも悪くもご近所付き合いって無くて、それもそれで心地よかったのですが。お兄さんや山田さんの話を聞いて、実際に京都の人が至るところでおしゃべりしている様子を見ると、京都の街のコミュニティにすっかり興味津々になってきています。すごく面白そう。

……とか言いつつ、もしかすると既にわたしも嫌味のひとつやふたつ言われていたのかもしれませんが、いまのところ話す人みなさん親切で、お話しが面白くて、また会いに行ったりしています(大丈夫かな…)。

もしかしたら山田さんと同じように、わたしも京都を楽しみはじめているのかもしれない…?と思いました…!たぶん…!

本の話に戻ります。

山田さんは宿泊業をしたことのない人でしたが(旅行業界にいらしたから若干の土地勘のようなものはあったかもわかりません)、体当たりで整えていく様子にとてもドキドキワクワクしました。「和」のしつらえにこだわり抜いている様子も、読んでいて勉強になります。知らない言葉がたくさん出てきたよ…

仕事としては結構ハードなことをされているはずなのに、山田さんの文体がゆるくて、かるーく読めてしまいます。まるで会話しているような感覚。

あと、だし巻き卵の大切さとか、京都のお祭りとかおすすめのお店とか、いろんな文化的エッセンスが入っているのも楽しいポイントでした。

「京都」をすこしおそれている人にこそ、読んでほしい気がします。

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