本屋さんで、パッと目についてそのまま買ってしまう本ってありますよね。
この本がまさにそうでした。購入したのは3月の頭ごろ。もしかするとコロナがいよいよやばいかもしれない、という頃合いです。
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「倒産」なんて、できればそんな目には遭いたくないですよね。
ならば、どうして倒産してしまったのか、知っておく必要があると思います。
最近すごく思うのが、失敗談こそためになる話が詰まっているということです。例えば以前読んだこちらの本には成功例と失敗例が交互に紹介されていて、とても読みがいがありました。
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失敗してしまうパターンがわかっていれば、自分がその方向に足を踏み入れているときに気付けるかもしれません。そんなにうまくはいかないかもしれませんが、知らないよりはいいはずです。
それで今回の『世界「倒産」図鑑』ですが、これは会社の話にとどまりませんでした。
自分に置きかえて考えてみると、まあ胸の痛むこと。自分の生き方を考えるって、つまり自分を経営方針を考えることなんだな、と思えました。
会社を経営する人だけが経営者じゃない。みんな、「自分」の経営者なんだなあ。
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ここで、この本の目次を大まかに引用します。
この本には全部で25社の倒産事例が載っています。中には聞いたことのある社名があるはずです。
どれだけ大手で華やかな業績を誇っていても、倒産するときは倒産するようです。安心なんてどこにもないんですね。
目次
はじめに
倒産とは何か<戦略上の問題 編>
◯「過去の亡霊」型
・そごう
・ポラロイド
・MGローバー
・ゼネラルモーターズ
・ブロックバスター
・コダック
・トイザラス
・ウェスチングハウス◯「脆弱シナリオ」型
・鈴木商店
・ベアリングス銀行
・エンロン
・ワールドコム
・三光汽船
・エルピーダメモリ<マネジメントの問題 編>
◯「焦りからの逸脱」型
・山一證券
・北海道拓殖銀行
・千代田生命保険
・リーマン・ブラザーズ◯「大雑把」型
・マイカル
・NOVA
・林原
・スカイマーク◯「機能不全」型
・コンチネンタル航空
・タカタ
・シアーズおわりに
荒木博行『世界「倒産」図鑑』p10〜13
「倒産」となると、なんだか固そうな本かもしれないと思いますよね。でも、この本はすごく読みやすかったです。そう感じた理由を挙げておきますね。
- 手書きの絵がゆるくてかわいい
- 知らない企業であっても、会社の説明が丁寧なので話についていきやすい
- 倒産の経緯と、その原因を明快に説明してくれる
- 事例ごとに、私たちが学ぶべきメッセージを添えてくれている
企業ごとに「説明・倒産の経緯・原因・メッセージ」で話が完結する形になっているので、短編小説集を読んでいるような感覚になります。
(実話なのが怖いところですよね…)
専門用語をかなりかみ砕いて表現しているので、経営者でなくてもスラスラ読めます。というか、経営者に限らず、みんな読んだらいいと思いました。
というのも。例えばコダックの倒産をものすごく手短にまとめると「自分の成功パターンで結果を出してきた以上、簡単には方法を変えられなかった」となるのですが、これって個人にもいえることですよね。
暗記テストの前に一夜漬けで勉強したらたまたま良い点を取れた。だから暗記テストはこの方法が一番良いんだ。そう思ってしまうと、勉強における時間配分が「暗記テスト:前日夜から」だけになり、ほかの時間は別の勉強をしたり、遊んだりするようになります。
それが本当にいいのか? っていう話ですよね。すごくドキッとします。
『世界「倒産」図鑑』には、こんな話がたくさん詰まっています。自分を見直す良いきっかけになりました。
テンポよく読めるので、よかったらぜひ手に取ってみてください。
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