前回のレポートでは、ムードメーカーの存在がいかに重要か、という話を書きました。
このチームは本当に雰囲気よく最終日まで走り抜けたのですが、その次の週のメンバーの中に、正反対のタイプの人がいました。
ムードメーカーの逆、「ムードブレイカー」です。
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ブレイカーさんと初日に顔合わせをした時は違和感はそこまでなかったのですが、時間が経つにつれ、あれっ、おかしいなと感じるようになりました。
一言でまとめると「覇気がない」のですが、なんだろう、覇気がないままいろんな所に出没して無言なのでお客さんからのイメージもあまりよろしくありませんでした。
わたしがレジ前に立っていたときも気付くと隣に立っていて(来たことに気付けないくらい静かにやってきます)、買いに来たお客さんにわたしが「いらっしゃいませ!」と声をかけても隣で一言も発せず、ニコリともせず、オーダーだけ確認して去っていってしまったり。
かと思えばSNSにクレームを書かれたようで、内容をちょっと怒りながら共有してきたりもして。朝一に出勤して早々怒られるのって、たとえまともな話でも頭に入らないですよね。しかも自分も原因かもしれないのに棚にあげている感じもしましたし。うーん、テンションを上げにくい。
そんな様子はデパート側の社員さんの目にも止まっていて、わたしの派遣の先輩に「なんとかしてほしい」とお小言が入っていました(いやいや派遣の立場から言えることじゃないし、そこはデパート側の仕事だよなあと思ったのはひみつです……)。
ブレイカーさんはお洋服や持ち物がどれもレトロかわいくて、雰囲気的には仲良くなれそうな気がしたのですが。どうにもこの態度だけは受け付けられず、そうするとなかなか話す機会も持てず、日にちだけ過ぎていってしまいました。
そんなある日。
仕事終わりに、ブレイカーさんとそのオーナーさんがケーキをくれました。「差し入れでもらったんだけど一緒に食べよう!」と。
おなかぺこぺこなので、ありがたくいただきました。そこから、話が弾む弾む。気付けばブレイカーさんと普通に仲良くなっていました。
楽しくおしゃべりしながら「ああ、この方はきっと仲良くなった人に対してはフレンドリーにできるけど、仲良くなるまでが固いんだなあ」と感じました。翌日以降、それなりに雑談はできるようになりましたが、結局のところ仕事ぶりは好きになれないまま、会期が終了しました。
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ケアレスミスが多いとか、仕事の段取りがイマイチでペースが遅いとか、そういうのって全体の雰囲気にはそこまで影響しないと考えています。
でも、仕事ぶりがどうであれ「ぶすっとした態度」はすぐに影響します。
特に客商売の場合、その態度がお客さんに見えているのでお店の評判に直結します。
ブレイカーさんは決して悪い人ではありません。シャイというか人見知りというか、「自分はいま接客する場所にいる!」という切り替えがうまくないタイプかなと。言ってしまえば接客にそこまで向いていないんだろうなと感じました。
- あいさつが元気
- とにかく人懐っこさが半端ない
- みんなと必ずしゃべる
- 専門性が高く勉強熱心
- やたら褒めてくる
- よそのショップのこともガンガン助ける
これは前回のレポートで書いた、ムードメーカーさんの特徴です。全員がムードメーカーである必要はないので全てを網羅しなくてもいいのですが、ブレイカーさんはこんな感じでした。
- あいさつが元気
→× ぼそぼそしている - とにかく人懐っこさが半端ない
→△ ムラがある - みんなと必ずしゃべる
→△ ムラがある - 専門性が高く勉強熱心
→◯ マニアックで素敵 - やたら褒めてくる
→× マイナスの指摘からの要求が多い - よそのショップのこともガンガン助ける
→×ほとんどなし
ここまで書いてみて気付きましたが、この6つの要素はどんな仕事であれ、チームで仕事をするときに多少なりとも求められるものですね。
だからきっとブレイカーさんは、そもそも仕事に向き合う姿勢がいまひとつで、それに加えて、お客さんと全然話そうとしない様子から接客業が「そんなに好きではない」、だからブレイカーになってしまったのかなと思いました。
ということで、
「接客に向かない人は、接客が好きではない人」なんだろうなと。今後いろいろ考えたらまた定義が変わるかもしれませんが、今のところはそう感じました。